第三章 嘘の幸せと真実の絶望と

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 初夏というには暑すぎる気温で流れ出た水分を補給する為、ミネラルウォーターを買う為に近くの自動販売機にお金を入れながら、時間的に学校には頑張って行ったが下校中まで悩んで送ってきた様子だなと俺は勝手に解釈した。  さて、体調不良という名の気分が乗らない病はいつまで続くのだろうか。勝手に家に行っても逆効果だろうし。しかし、ふと思ったのは落ち着いた曜子が両親と話て本当に家庭教師の問題で変更ってことになったら俺は用無しになる。  女心と秋の空ではないが、気分一新でありえるかもしれない。  だけど曜子と親密になるために家庭教師になったのもあるが、その理由である"W"が見える原因がペンダントだと豚平(ぶたひら)さんが解読すれば、本当に家庭教師を続ける理由もなくなると言うことか。  それが普通で普段の業務に戻るだけなのだが、面接即採用の初日から出会った曜子との関係が途切れると考えただけで、胸の真ん中にポッカリ穴が空いたような感じだった。  自動販売機に何度入れても感知されず払い戻しされる百円玉は自分を表している用な気分だった。  火曜日、いつもの朝の訓練を終えて言われた。 「心ここにあらず。悩み事か」  流石所長は鋭い。普段はエロい事しか言ってこないが訓練中の所長は殺意さえも感じる程だ。  曜子の今後の事を相談しようと思ったのだが、土曜日の悪ノリもあったしもう少し状況を見るため大丈夫ですとかわした。     
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