第三章 嘘の幸せと真実の絶望と

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 その言葉を聞いてから母親は、声を押し殺せず泣いているのがわかった。  「娘が心を開いてくれない親は親失格だな」  「そんなことないですよ。ですからこれから私も協力させていただきますし大学入って立派な看護師になるって張り切ってますよ……」  言い終わる頃には父親の方も眉間を押さえて目頭を熱くしているのが分かった。俺は今の状況が全く理解できなかった。  「君は曜子からなにも聞いてないのかい……」
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