第三章 嘘の幸せと真実の絶望と

44/72
前へ
/217ページ
次へ
「……俺に、今、出来ること……?」  “W”は今まで通り退治して、それは間接的に曜子を救うことであって、直接、曜子の為にできることを考えた。  曜子が大学受験合格が希望なら家庭教師としての手助け。  両親との歪を取り除くこと。直島に旅行に行くこと。病気の事を聞く前と同じ事をするのが曜子が今を生きてる証拠になるのか。 「突然の死の方が受け入れられないものなんだ。お前が今日死んだら曜子ちゃんは悲しんで、今よりもっと絶望感じるだろうな。そうさせないのもお前にできることの一つだ。」  ジンの入っていたグラスに水滴が付いて氷が解けていくことで、今も時が流れていることを感じた。
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

56人が本棚に入れています
本棚に追加