第一章 夢から覚めたら

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 所長のチャックが全開じゃねーか!  これも罠か?目線がたまたま股間の方に行っただけ。しかし所長の股間を意識的に見るのもおかしい、疑われる。目の前に座っている梓さんのパンツを意識してまずいと思ったから所長の股間に目線を変えた!その発想もおかしいな。  じゃあどうすれば良いんだ。素直に言うべきか。気づかないフリをすべきか。一瞬考えたが、社会人になるべく道として社会のマドの指摘も避けられない道かもしれない。言おう。 「あの、所長、その、チャック開いてますよ」 「ぬおー!いつから?恥ずかしいなぁ」  そう言いながら一度立ち上がりチャックを閉めて座りなおした。 「どうせなら梓ちゃんのパンツが見えてくれたら男性陣は大変喜ぶんだけどなぁ」  そう言いながら所長は梓さんのふとももに手を添えた。  それとほぼ同時に梓さんは所長の手の甲をつまんでいた。 「痛たたたたたたた!」  つままれた所長の手は明後日の方向に向きながら苦痛の形相だが、梓さんはなかなかつまんだ手を離そうとしなかった。        ※     「改めて自己紹介しとくね。俺がここ、からし屋 マタジ アルパカ営業所の所長の日比谷(ひびや)だ」     
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