第三章 嘘の幸せと真実の絶望と

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「結局、正面から行くのですか?」  冗談半分で聞いたら、「良く分かったな」と俺は寝言の通りに行動する所長に簡単に言われて呆れていた。 「ちなみに武器は特殊武器(これ)だけですか?ひょっとして拳銃とか持ってたりしたりとか、ないですよね」  当たり前だろう?と、逆に驚かれて拍子抜けしてしまう。 「麻薬組織の連中なんて絶対に銃とか持ってそうですよ!」 「そうだな。俺も近距離で銃を撃たれたり乱射されたら困るがな」  既にタクシーから降りて現場の倉庫に向かって歩いていたのだが、作戦のメドが立たないまま正面の入り口に着いてしまった。  夜の港は汽笛と波の音がどこか哀愁を感じさせるが、今はそんな状況ではない。  それらしき車から、人相の悪い奴等が数人出て来た。見張り番なのだろう。  恐らくこの時点で中の者にも連絡が行ってる筈だ。表にいるのは数えて六、七、八人か......。 「さて」  俺が数えきる頃に所長が呟き、その後男達は地面に倒れこんだ。  それは、俺が初日に見た"W"だった。つまりこいつらは強盗や恐喝並みの犯罪者レベルということか。     
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