第三章 嘘の幸せと真実の絶望と

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「人間の体内に流れる"気”を掴んでる手に集中(イメージ)するんだ」  言われるままにイメージしようとしたが、残りの右側に倒れている組織の”W”が十体はいるだろうか、全てが螺旋状に天井まで昇りうねっているのが気になって仕方がない。 「ほら、もっと集中(イメージ)して」  言うは簡単だが、急にはできないし邪念もあるし。 「初日は無我夢中で出来ていたぞ。あれを自在にできるようにコントロールするんだ」  確かに、曜子と初めて会った初戦の時、無我夢中で炎のような剣になって戦えた。あれをイメージして気をブラックソードに集中して......。 「今日はここまでだな。俺のをよぉく見て盗んでイメージしろよ」  目を閉じて集中してたのに、急に終わりになって一気に気が抜けたのだが、そうもいかず目を開いたら巨大な”W”が目の前に立ち塞がっていた。 「な、なんだコイツ!合体したのか?」  恐らくそうなのだろう、他の”W”は見えずその巨大な”W”だけになっている。頭は大きな倉庫の天井に着く程になっている。  両手にはダンプでも真っ二つにできそうな程の爪がこちらを狙っていた。 「しょ、所長!」 「分か《わー》ってるって!」  ブラックソードを下段に構えた所長は、大きく息を吸って、一気に吐き出した。     
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