第三章 嘘の幸せと真実の絶望と

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 一瞬!落雷でもあったかのように所長のブラックソードが光ったかと思うと電流が飛び散るように武器(ソード)に絡みついている。 「(ざん)……」 「あ、ちょっと待ってください。なんだか僕、できそうなのでやらせてもらえませんか?」  集中している所長を止めて、なんだかさっきの俺が止められた仕返しみたいになってしまったが、目の前の巨大で間違いなく今まで戦った中で一番手強いだろう”W”を倒すことができたら、自分の自信になるし、今までの訓練の成果を試せる気がした。 「やれるのか?そいつは……」  任せてください、という返事を言う時間さえも惜しく、俺は集中してそっと目を閉じようとした時、”W”が大きく口を開けて吐き出したのは、バックドラフトのように爆発的な炎が俺に遅い掛かってきた。 「え?」  中学生の時に体験したキャンプファイヤーの時に、わりと離れていても炎っていうのは熱さを感じるものだなぁと思ったが、今はその比ではない燃え滾るような熱量が目の前から襲ってくるのだ。  たちまち目の前が真っ赤になり、立ちすくむしかできなかったが、横から遮った風が炎を切断するという現象が起こった。 「そいつは炎を口から出すかもしれないから気を付けろ!」  いやいやいや、先に言ってくださいよ。と言いたいのだが、唖然として言葉にならなかった。     
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