第三章 嘘の幸せと真実の絶望と

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 落ち着きを少しだけ取り戻した俺は所長の後ろに急いで身を隠した。 「すんません所長、僕にはまだ早かったみたいです!」  ハハハと笑われたが、笑われても仕方ないくらいカッコ悪かった。 「威勢は良かったが、もう少しでウタルの丸焦げが見れてたな」  何も言い返せない状態で所長の後ろに隠れていた。再び”W”は俺達目掛けて炎を吐き出したが、所長のブラックソード一振りで炎は切断され、威力を失った。 「(ざん)邪気諦観(じゃきていかん)」  眩しいほどに光輝いた所長のブラックソードは、下段の構えからの一振りで稲妻のように走った光が”W”を真っ二つにした。  地に倒れた”W”から黒い(すす)が立ち上り灰になって消えて行った。
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