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俺は座ったままだが会釈をしたが顔を上げる前に梓さんの紹介もしだした。
「こっちは俺の助手兼任でアルパカ営業所の雑務担当の水沢アンズちゃんだ」
「担当じゃなくて雑務を所長が押し付けてくるから仕方なくこなしてるだけです」
「へへへー、頼りにしてるよ、梓ちゃ~ん」
「頼る立場はこっちですので、所長はもっとしっかりしてください」
今の会話だけで完全に所長は梓さんに頼り切ってるのが理解できた。
「あ、梓さん、いや、あの水沢さんって、梓って本名じゃなくアンズさんが本名なんですか?」
「なにか?」
「い、いえ」
「そーなんだよ。アンズちゃんだから本当はアンにゃんなんだけどアンにゃんってなんかアンチャンみたいでニューハーフの兄弟と間違えられたら困るからアズちゃんって呼んでたんだけどいつのまにか勝手に梓ちゃんって呼ぶことにしたんだよ。へへへー」
所長、誰もそんな間違いしませんよ。
「月野、お前も梓ちゃんって呼んでも構わないんだぞ」
「いえ、僕は…」
「ご自由に」
両手でマグカップを持って冷ましながらコーヒーを飲む梓さんはこちらを見ずにそう言った。
「じゃあ僕は、梓さんって呼んでいいですか?」
「ご自由に」
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