第三章 嘘の幸せと真実の絶望と

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 ダンパーがセルフィーオを抑えるように片手を出した。 「しかも相手はあの四大明王の一人、日比谷です」 「なに!だったら尚更今殺しとけばいいじゃねぇか!それともなにか?俺じゃ明王共には勝てないって言いたいのか?」  後から来た三人目の男は(ひざまず)き、黙っていた。 「くそっ!」  セルフィーオは怒りを誤魔化すように跪いた男を蹴飛ばし、鞘に剣を戻した。 「なんだ?戦わないのか?」  その光景を見て、ニヤけながら煽る所長に俺は茫然とした。 「命令だから逃がしてやるが、王の復活まで命拾いしろ」 「王の復活?」  セルフィーオの言葉に俺は反応した。こいつに命令出している組織もあるということか。その王を復活させる為にコイツ等は動いているということなのか。 「我らの王が復活されれば、貴様らなど取るに足らんのだ!」  自信に満ちたセルフィーオの顔はハッタリではない、王の復活が本当に起こるのだという現れなのだろうか。 「王についてもっと教えてくれよ、おチビちゃんよぉ」 「ぐぬぅ」  今にも飛びかかってきそうな雰囲気だが、ダンパーが再々制止する。 「我らの王の復活は近い。この国は王の復活の為に破壊され、復活と共に破滅する。数千年の怒りと共に」  周りの空気が張り詰めた感じになる。     
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