第三章 嘘の幸せと真実の絶望と

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「だが安心しろ日比谷。王が復活して我らの力が全開に戻ったら四大明王は俺がまとめて地獄に落としてやるからな」 「まだ、全開じゃないだと…?」  俺は驚愕だった。ダンパーの変身も恐らく途中形態だろうが、あの鋭さと凶暴さを備えていた。それがまだ全開じゃないなんて、一体。  セルフィーオもダンパーと同じかそれ以上の実力だとしたら……。  王の復活とやらが目前なのかまだ時間が掛かるのかはわからないが、阻止できるものなら復活させない方が良いのだろう。だが、その術が全く見当もつかない。  もしかしたら所長は戦闘する為に煽っていたのではなくて、何かを聞き出すためだったのだろうか?しかし相手の実力もわからない状態でリスクが高すぎると思うのだが。 「お前らエージェントも薄々おかしいと思っていたんだろ?先の大戦が終わってからは悠々自適に過ごしてきたのに最近、動きが活発になってきてるの知ってるぜ、からし屋マタジの連中がよぉ」 「あぁ、最近の“W”がやけに戦闘的なのと、悪人が“W”を生み出しているというより、“W”が人を飲み込んで悪人に仕立て上げていると思ってたがな」  先の大戦?俺の知らない大きな戦いが以前にあったということか。     
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