第三章 嘘の幸せと真実の絶望と

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 ―30― 属性と特性と秘めたる思いと   「あいつら一体何者だったんでしょうかね?」 「さぁな。ただ、これからはゆっくりしてるわけにはいかないってことは確かだな」  倉庫を後にして俺達は帰路につく。色々聞きたいことがあるのだが、大丈夫なのか心配でもあった。  海から聞こえる波の音は、先程の戦いに全く関知せず立っていたはずなのに、どこか心を落ち着かせてくれる。 「今の二人、いや三人か。所長だったら勝ててました?」 「どうだろうな。全開じゃないって言ってたから、王ってのが復活したら何故、力が全開になるか知らんが、想像を超えてたら勝てないかもな」  逆に取れば、今の状態だったら勝てるということだろうか。しかも三人同時でも?全開になっても想像の範囲内だったら……甘い考えはやめておこう。  ただ、所長の力はまだ全然底を見せてくれてないってことは確かだ。 「四大明王って他に三人いるってことですか?」 「あぁ、いつからか勝手に言ってるだけで大したことないんだよ。言葉が勝手に独り歩きしてるだけだ。こないだ来た、火傘車もその一人だ。だから大したことないんだよ。後の二人もまたいずれ会うことになるだろうよ」     
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