第三章 嘘の幸せと真実の絶望と

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 火傘車さんが入ってるから、大したことないって意味なのか?それとも火傘車さんも所長レベルの強さだけど、大したことないって意味なのだろうか?  やる気はある。俺はニートを卒業して晴れて就職をして順調に生活しているわけだが、もしかしたらとんでもない世界に足を踏み入れたのかもしれない。  逃げる?逃げるなら早いうちが良いだろう。  何処へ?逃げてもニートの生活が待ってるだけなんだ。  死んだようにニートで生きてるよりも、死ぬかもしれないけど今の生活を俺は選びたい。だけど易々と死ぬわけにはいかないから死なない努力を積み重ねることしかない。 「先の大戦って、以前にも大きな戦いがあったのですか?」 「あぁ、大昔な。俺がまだ入りたてのぺーぺーだった頃だからな。もう忘れたよ……」  大きな戦いを忘れるはずがない。忘れたくても忘れられないんじゃないかと思ったが、思い出したくないこともあるのだなと思って、大戦の事を聞いたのを後悔した。 「それよりウタル、最後の集中は良かったぞ。あの状態なら俺の技も出せただろうに」 「ありがとうございます。ただ、あれは無意識になれた状態でして意識的になろうとしたんじゃないっていうか、上手く説明できないんですけどね」  口で説明もできなければ、今すぐやってみろと言われてもできる自信はなかった。     
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