第三章 嘘の幸せと真実の絶望と

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 ふとスマホをみると曜子から連絡が届いていた。 「いつまでサボってんのよ!どうせ女の子の尻でも見てたんでしょ?変態なんだから!聞いてると思うけど、明日退院だから。祝いにケーキくらいは何個か食べてあげるわよ」  最初の連絡から、随分時間が経っていてその後も『無視するな』とか『なにやってんのよ』とか沢山届いていた。時間的に電話をしたくても遠慮をしたのかもしれないな。最後の方には、『大丈夫?』とか入ってた辺りは、やはり素直にしてれば可愛いやつなんだなと。  変な心配をかけてしまったが、心配をしているのは俺の方だというのに。  明日、ケーキの手土産を持って、きっちりケジメをつけてこよう。  俺の長い一日が終わり、帰りのタクシーの中から夜景を見て、(とき)は確実に流れていることを実感した。 第三章 終わり
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