最終章 智慧

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 もちろん、お餅なわけないだろうとか、古いギャグで店員のお姉さんの愛想笑いを誘うような愚かな行為は絶対しない。不慣れな俺は、ギャグを言っても途中でどもってシャレにならない程に恥をかくのが目に見えているからだ。  折角、ポイントカードを作ったのに次から来にくくなるなんて笑止千万。店員に『どもる餅』とかあだ名をつけられて、今日あれ買うこれ買うとか、行動を把握、もしくは予測の対象になるのは真っ平御免。  注文したケーキ達が箱詰めされてる間、焼き菓子が陳列されてる方に目をやると、ポイントカード発行日はポイント三倍という張り紙が。何故言わない。何故催促しないんだ店員さんよぉ。通常の三倍だぜ?  俺もポイントの為に無駄遣いをするタイプではないが、ポイント多めに着く時は余計な物まで買ってしまうタイプなのは知らせるべきだったかな。  どうせ買っても美味しく頂くのだから、余計な物などないよね、と飛鳥時代から言われてきたが、全くその通りだ。  この和三盆とやらの言葉の響きが気になって好きになったので、追加で買うことにした。今度事務所で皆で食べるために多めに。  決してポイント三倍を意識しての購入ではないことが店員に悟られないような振る舞いができるのが大人のたしなみってものだ。  有難うございましたという見送りの声を聞くたびに俺は物申したい。こんな美味しいものを作って販売してくれて有難うと言いたいのはこっちだと。     
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