第一章 夢から覚めたら

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 顔を見れば思い出すのかもしれないが、この状況は昨夜、クラブでナンパした女と遅くまで飲んだ朝、ベッドで目を覚ましたら記憶がなかったっていうドラマでよくあるパターンだな。  残念ながら、俺はそんなナンパどころかクラブに行く度胸もない。  とにかく抱き合っていることはわかっているのに、彼女の胸が当たっている感触がないのは何故なんだ。  もしかして、俺が女性の胸の感触を知らないから、夢でも実感できないっていうのだろうか?夢くらい夢見させてくれよ。  まぁ、凡人は胸に興味を持ってしまうが、俺のように極めると胸より、尻だな。尻こそ女性の究極アイテムと言っても過言ではないだろう。  女性の尻に顔を埋めて窒息できるのなら死んでもかまわない。つまり窒息死ってことだ。  それほど、女性の尻は死をも超越していることなのだ。だから胸の感触がわからなくても尻さえあれば良いんだ。  ただ、女性の尻の感触も知らないから、この夢でも実感できないってなら話は別だ。  それよりとにかく顔を見て誰だか確かめたいのだが、なかなか顔が見れるように俺の頭が自由に動かせない。  夢でありがちな、逃げたいのに早く走れない、そんな感覚だった。  そうか、これは夢だったな。だったら何をしても夢だから許されるな。  丁度良いことに裸で抱き合っているのだから、することは一つだろう。     
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