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言いかけて俺は口を閉じた。今説得してどうにかなるのか?ならないだろう。発見した時でさえ厳しいと言われたのに。
「言ったでしょ、お父さんの期待に応えれず親子の歪みができて。クラスでもさ、看護師になりたいって言うのはあのクラスでは勉強の邪魔者なの。レベル高い進学校目指してるクラスに私みたいなのは半端者みたいになってね。友達っていう友達もいなかったし。短い人生だったけど、こんなものかぁって投げやりになってね」
曜子はお皿の上に置かれた色とりどりのマカロンを、一列に並べたり回してみたりしながら語ってくれた。
「いいのよ。将来性のある人や、友達がいっぱいいる人が死んじゃったら悲しむ人もいっぱいいるじゃない。だから神様は私を選んだんだと思うよ。そして、私はその現実を受け入れたの……」
「じゃあなんで看護の大学受験目指して俺と勉強をあんなに必死にやったんだよ」
ぶっきらぼうな言い方だったが、死ぬことを受け入れたなら大学に進学しても仕方がないんじゃないのか?俺はこの疑問が昨日からずっと頭から離れなかった。
「死ぬまで、何もせずに待つのも嫌じゃない。かと言って他人に迷惑気にしないで好き勝手遊ぶ気にもならないし。私、育ちが良い方だしね」
自分で言って恥ずかしかったのだろうか、テヘっと舌を出す仕草が可愛かった。
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