最終章 智慧

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 愛という字は、真ん中に心がある。  言葉でも、頭の中でも理解するものなんかじゃない。愛は、心で感じるものなんだ。  腕の中で大声で泣き続ける曜子の頭を、くしゃくしゃになるまで撫でた。小さく震える曜子がこんなにか弱く思ったのは初めてだった。腕に涙の温度を感じた。  泣き続ける曜子の涙が、テーブルの角に置いてあったペンダントに落ちた。  次の瞬間辺りは真っ暗になり、鏡から放たれた光に部屋は包まれ、俺と曜子は光の渦にとけていった。          
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