最終章 智慧

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 ―34― PRELUDE   「研修期間も無事終わり、一人前だな」 「ありがとうございます」  俺は所長と梓さんと三人で『BAR PRELUDE』に来ていた。  俺の入社一年のお祝いをしてくれるという二人の優しさに酔っていた。  相変わらず、所長はジンを頼んでいたがジンジャエールである。俺はカシスオレンジをちびちび飲んでいた。酒は普段から飲まないので全く強くならなかったが、特に困ったことはなかたので気にはしていない。  梓さんはもう何杯目だろうかというくらいペースが早い。酔うといつも以上に凶暴になって絡んでくる。酔いつぶれた梓さんを何度二人で事務所まで運んだだろうか。ソファに寝かせて風邪を引いたことはないみたいだが、彼氏は心配しないのだろうかと、余計な心配をしてしまうが、実際いるのかどうかは結局謎のままだ。 「これからは厳しくいくぞ、と言いたいところだが普段と変わらずぼちぼちで行こう」     
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