最終章 智慧

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 本当はセルフィ―オなど残党がどれだけの戦力を残して機会を伺っているのが、本部から調査命令がでているはずなのに。これまでは単独調査はさせてくれなかったが、やっと研修期間も終わったのでこれからは少し位は責任ある任務に就かせてくれるのだろうか。 「いえ、今年こそ売り上げ一位を目指すアルパカ支店でびしばし厳しくいきましょう」  梓さんの鼻息が荒いのは、去年、売り上げ一位がしろくま支店でだった為だ。副賞でハワイ旅行に綾女川さんが行ったのがとても悔しかったらしい。 「ちょっと日焼けした素肌を惜しげなく出しやがって、あの露出狂女めぇ」  今日のお酒のピッチが早い理由はこれだろう。どうやら先日行われたコスプレ大会で、日焼けした綾女川さんに人気が集中して、梓さんはそれが悔しかったみたいだ。女のプライド対決は恐ろしいので関与できない。 「まぁ、梓ちゃん、今度勝つためにはヌードで出場すれば注目間違いなしだよ!綾女川にも西園寺にも勝てる!」 「所長は黙っててください」  たしなめられた所長はジンジャエールのお代わりをマスターにお願いしていた。  アーモンドを少し摘まんでからカシスオレンジを一口飲んだ。 「念願の年収一千万だなウタル。使い道決めてるのか?散財には気をつけろよ」  新しく出されたジンジャエールを一口飲んだ所長に言われて、逆に聞き返した。 「所長こそ、若いお姉ちゃんの所ばかりで使っちゃ駄目ですよ」 「あら、知らなかったの?」     
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