第一章 夢から覚めたら

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 所長はニコニコしながら隣で黙って聞いている。 「要はニートととしての条件を満たしていたのでスカウトしました。チラシを見て必ず来るとわかっていました。例え条件を満たしていないニートにチラシを渡しても目が腐っている限り絶対きません。働く意思が欠落しているからです」  梓ちゃんはコーヒーを一口飲んでから俺を指さし 「やっぱり貴方はキング・オブ・ニートよ!」  ……。  しばしの沈黙があったが、俺は褒められているのか?  普通に働く一般人や学生の下がニートだとしたらニートの上位だが一般人以下ってことか?  相撲で言えば幕下、野球で言えば二軍。いやアマチュアか?  無口そうな梓さんがあれだけ喋るのだから褒められていることにしよう。 「仕事で使うスーツ代は領収書もらってきてください。髪は常に清潔にして。住むところないならここの三階を利用すれば良いですから早速引っ越してきてください。一年間はここの地域の最低賃金で働いてもらいます。給料は毎月一日に前払いです。研修期間は一年間。無事に研修が終われば年収一千万円になります。なにか質問あれば」     
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