第一章 夢から覚めたら

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 ―7―   ハラキリ   「からし屋だけど殺し屋も兼ねてやってるの。もちろん殺すのは人間でも動物でもないんだけどね」  他事を考えて妄想にふけってしまわないように俺は真剣に所長の言葉を受け入れた。 「ニート時代が長くて妄想の頻度も多いし時間も長いニートは人間とみなさないから殺しても良いっていうオチでもないからね」  笑うに笑えない状況だ。突拍子もないことを言われたにしても妄想に入り込んで恥ずかしさのあまり妄想と現実が混ざって思いついた言葉を叫ぶなんて普通に考えても可笑しいことだ。  だがそんな理由でいくらニートだからって殺されたらたまったもんじゃない。それに採用されているからニートは卒業してますし。 「殺し屋というより駆除や退治って思ってくれたらいいよ。ちょっとびっくりさそうと思って殺し屋って言っただけだしからし屋に似てるからいつも言ってから新入社員の反応で楽しんでるだけだから。君みたいな反応したのはいなかったけどね」  所長は馬鹿にした笑いを堪えているが口元がにやついているのがわかる表情だった。怒られるか呆れられるよりマシくらいに思って早めに忘れよう。 「切腹ーーー!」     
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