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梓さんがいきなり立ち上がり切腹をするマネを繰り返した。
所長は耐え切れず俺を指差しながら大笑いし、梓さんは切腹を繰り返している。
ソファーに座った梓さんの肩に手を置き、逆の手でまた俺を指さして梓さんと一緒に大笑いする所長。
どさくさに紛れて梓さんのオシリに手を回してオシリを撫でたところでお盆が所長の顔面を捉えた。
さっきまでの笑いが嘘のように消え、何事もなかったかのように梓さんはコーヒーを飲んだ。
のけぞっていた所長が体勢をもどし鼻をさすりながら涙目で俺をみた。天罰というか当然の報いだろう。
「退治するのは人の心。悪の心なんだよ」
「道徳的なってことですか?」
なんだか雲行きが怪しくなってきた。変な宗教か何かに巻き込まれるのではないかと内心思った。年収一千万円ももしかしたら信者を増やせば自分の収入が上がるシステムなのか?儲かると書いて信者。これはマズイぞ。
「道徳というか、最初は信じがたい話かもしれんが…」
「宗教は代々決まっておりますので他を当たってください!」
俺はまた立ち上がって少し大きめの声でハッキリと言った。
「いやいや、いいから座れ。君は人の話を極端に解釈する薬でも飲んでるのか?」
「す、すみません」
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