第一章 夢から覚めたら

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 すると彼女も同調したのか、俺の首に両手を回して顔を近づけてきた。  こんなに近いのに、ぼやけて顔が見えないが、顔の確認は後回しにすることにしよう。  近づいてくる彼女の唇に、俺は目を閉じて唇を差し出した。  だが、彼女の唇は俺の耳元を目指していたのだということが囁かれてわかった。 「貴方には、やることがあるでしょ?」  ヤル?そう、だからヤルことに決めたんだよ。 「あぁ、そうだな」  俺は言ったこともないようなシリアスモードで応えてやった。そう上から目線で。  すると彼女は、両手を離して下に沈んでいった。  彼女の頭が俺の胸元を通り、さらに下に沈んでいく。  おいおい、いきなりそれは俺でも戸惑いを隠せないなぁぁぁと、有頂天になっている俺を置いて、彼女は沈んで消えて行った。  という所で、俺は目が覚めてしまった。  本当に夢だったようだが、肝心な所で目が覚めるのは神のいたずらか。  しかし、今の俺なら神に背いてでも夢の続きを見ようではないか。  風呂と寝ることが大好きな俺にとって二度寝など朝飯前ってことなのだ。  そして俺は目を閉じ、易々とスヤスヤ二度寝についた。   「んじゃあ採用です」 「へ?」 「採用って言ってんのよ。嬉しいでしょ?」 「だって面接来てからまだ一分も経ってないですよ」     
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