第一章 夢から覚めたら

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 ―8―   論より証拠 「論より証拠。まぁ見てろよ。梓ちゃん、机の上の引き出しに入ってるアレ取ってくれないかな」 「ないですよぉ」 「おかしいなぁ。一番下の引き出しかなぁ」  言いながら所長も机に向かい引き出しを出し入れして探している梓さんの後ろに回り込んだと思ったら 「見ろウタル君!この小柄で一見幼児体型に思える身長なのに胸の発育だけはそこらのスタイル抜群お姉さんにも負けてない!しかも小柄な幼児体型からのギャップ萌え!この身体をコスプレイベントで惜しげもなく披露すればマニアでなくても正気を失うぞ!そしてこのヒップ・・・」  一瞬固まった梓さんだったが正気に戻り回転しながら所長を平手打ちした。  しかし、所長は梓さんの攻撃を読んでいたのかしゃがみこんで攻撃をかわした。 「甘いよ梓ちゃん!そして見よこのヒップ。くびれたウエストからヒップラインの悩ましい・・・」  言い終わる前に所長は窓ガラスに吹っ飛んでいた。  どこから出したかわからないが巨大なボクシングのグローブが着いた植木ばさみのようなもので所長は吹っ飛ばされたようだ。  梓さんのその武器は伸縮自在のようでギコギコしながら所長を威圧していた。 「所長、練習という名目で本気で揉んできましたね?今度揉んだら所長のナニをぶった切りますよ」 「はひ、もうひません」  所長は真っ赤になった鼻を抑えながら涙を流していた。 「それよりウタル、これが見えるか?」  所長は宙に浮かぶ何かを指さしているが俺には何も見えなかった 「これで見て」  梓さんは自分の眼鏡を外して俺に渡してくれた。  眼鏡を外した梓さんは少し大人に見えた。  眼鏡越しに所長の指さす方を覗き込むと黒い物体が浮かんでいた。 「なんですか?この黒いの」 「これが悪の心。こいつを退治するのさ。梓ちゃん頼む」 「ほい」  梓さんはまた巨大なグローブ付きの武器で黒い物体を攻撃した。  勢い余って所長は再び窓ガラスに吹っ飛んでいた。
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