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―9― “W”
「W.B.S。通称“W”と我々は呼んでいる。こいつが体内で寄生して増殖をすると大きな犯罪をしてしまうんだ。」
「今の黒い物体が“W”・・・。その退治をするのが仕事?」
「そういうことだ。現実を受け入れるのに時間が・・・」
「やります。やります、やってみます」
俺は所長の言葉を遮って返事をした。確かにわけのわからない物体が人に寄生して追い出したら宙に浮いて退治してって簡単にうけいれられないけど、人として良いことをするというのは直感でわかる。
やりがいのある仕事だと思った。それに簡単そうで研修が終われば年収一千万なのは魅力的すぎる。
もっと怪しく危ない仕事だと思っていたので尚更受け入れやすかったのかもしれない。
「いいねぇ、単純明快。褒めてんだよ」
単純の部分だけ聞けばただの単細胞って言われた気がしたが。
「リスクと言えば、あんまりないと思うけど稀に凶悪な“W”と遭遇してピンチになっちゃうくらいだから」
所長はヘラヘラ笑いながらも聞き捨てならないことを言ってくれる。
「ピンチってどれくらいですか?」
「凶悪な“W”に取りつかれて凶悪な犯罪者になるか倒されて死んじゃうくらいかな」
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