第一章 夢から覚めたら

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 女子高生のカバンひったくり犯を捕まえるのは仕事でなくても表彰ものだがナイフなんて出されて刺し所悪かったら命取りになるんだぞ。かなり凶悪犯か考え無しのバカなのか?  植木の 下に少し長めの枝が落ちていたのでそれを拾い二刀流で対峙した。 「この特殊武器、ナイフには弱そうだからなぁ」 「へっへっへっ、黙って見過ごしていればよかったのによぉ。俺は虫の居所が悪いんだ。あんまり逆らったら殺しちゃうよ?」 「勘弁してください」  コイツ、完全に目がいっちゃってるな。脅しじゃなく本気で刺しにきそうだ。 「とりあえずカバンは返してくれないか?」 「俺は人に命令されるのが大嫌いなんだよ」  でしょうねぇ。ここでカバンは絶対返すなよって命令すれば逆に返してくれるのだろうか?神経逆なでるだけだとマズイのでやめとこう。  さぁどうしたものか。少しでも怒りを増幅させないように穏便長期戦でいくか? 「ちょっとアンタ馬鹿?カバン返しなさ いよ!馬鹿!変態!」  俺の穏便長期戦作戦は女子高生の叫びによって却下された。  どうやら被害者の女子高生が後を追ってきていたみたいで肩で息をしながらも文句は言わずにおれなかったのだろう。 「あーーー!?」     
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