第一章 夢から覚めたら

41/46

56人が本棚に入れています
本棚に追加
/217ページ
 女子高生はカバンを犯人から取返し大事そうに抱きかかえていた。 「大切なものが入っているのか?」 「ちょっとね。それよりこの人本当に死んでないの?黒い煙みたいなのが出てるけど」 「え?」  そういえば“W”が出てくるはずなんだけどな。倒れている犯人の方に目を向けると確かに身体から黒い煙のようなものに包まれている。 「ちょっとヤバイんじゃないの?燃やしたの?」 「死んでないって言ってるのに燃やすわけないだろ」 「じゃあなにこの黒いの。魔術師とか危ない人?」 「魔術師に会ったことないからわからないけど良い人ではなさそうだな」  次の瞬間、犯人の身体を覆っていた黒い煙のようなものが胸の辺りに集中して一気に上空に駆け上がっ た。 「なになになになにこれ」  女子高生は俺の後ろに隠れて怯えながら 「なにこれヤバいんじゃないの?早く逃げようよ。得体の知れないものは警察か自衛隊に頼んでさ」  確かに普通の感覚なら逃げて警察に連絡するだろうな。“W”の説明が理解されないだろうけど。  上空に駆け上がったおそらく“W”はうねりながらこちらを見ているようだった。     
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

56人が本棚に入れています
本棚に追加