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第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い
―13― 湯気のむこうになにが見える
立ち込める湯気に包まれて俺は至福のひとときを過ごしていた。
どんなに忙しくても、気分が滅入っていても、風呂に漬かれば落ち着くのは日本人の祖先からのDNAなのだろうか。
それとも忙しすぎたり気分が絶望な時は風呂に入る余裕がないからだろうか。
風呂に入れるということは幸せの証拠か。
夜に入れば一日の疲れを落とし、朝に入ればこれからの活力にもなる。
風呂はいい。一糸まとわぬ姿で全てをさらけ出し全てを洗い流す。風呂は本当にいい。
「ちょっと今私の身体見たでしょ?いやらしいわねホント。変態ウタル丸」
「・・・」
「ちょっと今私の身体で変な妄想してたでしょ?ホント信じらんない」
・・・所長にはあの日曜子と仲良くなっておけと言われたけど、同じ湯船に浸かっているいるなんて信じられないだろうな。俺も信じられないけど。
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