第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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 ―14― 公園 「お疲れさん。ウタル良くやったぞ」 「所長ー!所長から出た“W”と全然違うじゃないですか。危うく死ぬところだったんですよ」 「初っ端から強烈な“W”だったな。けどお前ならなんとかすると思っていたよ。梓ちゃんは死んだ方に賭けてたみたいだけど」  所長は笑っていた。さっきまでの死闘がなかったかのように笑っている。 「悪運の強いやつめ」 「いや梓さん、シャレになってないですよ。ホント死ぬかと思ったんですから」 「所長がいるのに死なすわけないでしょ」 「え?所長ピンチなったら助けてくれてたんですか?」 「当たり前じゃん。有望な新入社員を簡単に見捨てはしないよ」 「じゃあもっと早くに助けてくださいよ。もっと小さな“W”退治かと思ってたのにあんなオトナコモドドラゴンみたいな“W”聞いてないですよ」 「大丈夫、俺の初めての時はもっと巨大で狂暴だったから」 「そうなんですか?じゃあ所長も初めてで強大な“W”を倒したんだ?」 「いや、速攻逃げたよ」  恥ずかしむこともなくあっけらかんと笑いながら言う所が所長の良さなんだろう。 「あの・・・」  曜子のことを忘れていた俺は所長と梓さんを曜子に紹介した。     
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