第一章 夢から覚めたら

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 せっかく卒業できるところだったのに、夢でも慌ててしまうなんて我ながら情けない。  けど、最初の夢の女の子とは違う感じがしたな。相変わらず顔はぼやけて見えなかったけど。  昨日、あのチラシをくれた子に似てたような気がしたけどそれは潜在意識に残ってただけかもな。  立て続けにこんな夢みるなんて、溜まってんのかな?それともなにか幸運の前触れなのか?  誰にでも人生の転換期があるとすれば、俺の転換期は今日になる。  とにかく今日俺は、新しい一歩を踏み出し、ニートを卒業する。予定だ。        ※      電車に乗るべく駅に着いたが、嫌なものが視界に入ってきた。  ネット用語で言うならばDQNというやつだ。  ヤンキーとでも言えば分かりやすいかもしれんが、最近は誰かや何かに突っ張ってるわけでもなく、ただ社会不適合なイメージでDQNなのだ。  そのDQNが駅の出入り口付近で三人、タバコを吸いながら屯たむろっているのだ。  足元には吸い殻が落ち、空き缶も転がっている。  こいつらが捨てた証拠はないが、捨てたと言われても仕方がない出で立ちなのだ。だからこいつらが捨てたと俺は決めつける。     
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