第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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「え?なに?今日が初めてでいきなり死にそうになってたの?」 「まぁそういうこと。死ぬ前に所長が助けてくれてたと思うから死んではないと思うけどね。ただ聞いてたのより“W”が大きくて狂暴だったけどね」 「仕事初めでその“W”っていうのを退治して女子高生を救って私に出会えて、今日は人生の運命的な日だね」  最後の曜子に出会えたのが運命的な日かどうかは置いといて、確かにニートだった昨日までに比べたら今日は俺の運命を変えた日であることは間違いないかもしれないな。  その後も曜子は“W”のことを茶化しながらも眉唾物のような感じではなく現実的として聞き入れてくれた。こんなところは素直な子なのだろうか。単純と言えばまた不貞腐れるだろうから言わないでおこう。 「ウタルはずっとこの仕事を続けていくの?」 「まぁ本採用になれば給料もいいし、命の危険は自分の努力不足ならこれから改善できるだろうし、それに」 「それに?」 「“W”の仕組みは良く分かっていないけど“W”を退治することで人が本来の心を持って世の中が少しでも平和になっていく手助けができるなら続けていきたいなと思っているよ」 「ふーん。今日採用されたばっかりでもう夢を追いかけてるモードになってるんだね」 「素直なオトナだろ?」     
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