第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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―16― 駐輪場 「なに見てんだオッサン」  駐輪場に出て行った俺は若造共をじっと見ていたら案の定声を掛けてきた。単細胞というのは言動が把握されやすいワンパターンなのだろう。  全部で五人。仕事とはいえ特殊武器が無かったら絶対に関わりたくないだろうな。見て見ぬふりが正解かどうかはわからないが、注意する大人が減ったのは事実だろう。許せない気持ちはあっても正義感で注意して逆上された相手に暴力で仕事や生活に支障が出てもいけないし、行きすぎたら死亡事件になる場合もある。キレ易いというか行き過ぎた事件が多いのは嘆かわしい限りだ。 「なに無視してんだよ!」  考え事をしていた時間が余程気に入らなかったのか俺はケツを後ろから蹴られた。見事に喧嘩キックがさく裂して俺はうつ伏せに倒れてしまった。 「ハハハハハ」  倒された俺を見て全員で笑う若造。箸が転んでも笑えるんじゃないのかと思えるが自分の体幹の悪さが情けない。後ろから不意打ちで蹴られたとしてもよろけながらも踏ん張れよ。両手ついて転ばないようにこれから体幹鍛えよう。     
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