第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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 若造共からしたら、文句か喧嘩でも売りに来たかもしれない奴が目の前で黙り込んで妄想してたら返り討ちの結構の獲物になるだろうな。暇で暇で時間を持て余している感じの若造共にはおいしいイベントだな。 「泣いてんのか?オッサン」  泣いてる?蹴られたくらいで泣いてたらニート卒業なんてできるかよ。と言いたかったがわざわざ自分がニートだった宣言はするほど愚かではない。しかし今日は妄想というか考え事が多い気がするな。まずは起き上がろう。今我に返ったが蹴られてから四つん這いで妄想してたら、そりゃ若造共も泣いてんのかと思ってしまうわな。 「おぉロデオ。あなたはどうしてロデオなの」  訳の分からないセリフが頭上から聞こえてきたと同時に背中にズッシリと重い感触があった。若造の一人が四つん這い中の俺の背中に乗っているのだ。  若造の足のポジションが悪くて背中が痛い。伏せてしまえば道路に挟まれて余計に痛いだろう。だったら四つん這いで耐えるべきか。小学生の時の組み立て体操じゃあるまいし、地面がアスファルトだから膝が痛いって。痛い、ホント痛い。 「痛いって!!」  冷静に考えたら上に乗ってる奴を落とせば良いんだった。俺は身体を横にして上の若造がよろけて落ちそうになった時に立ち上がろうとしたが、よろけた若造の頭と俺の頭がぶつかり俺は頭を押さえながらまた駐輪場でうずくまった。 「痛ぇなぁ、なにすんだよ!」     
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