第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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「こんのぉヤニカスがぁぁぁぁ!なんでお前らヤニカスは鼻から煙出しながら毎度イキってんだよ!そういう成分が含まれているのか!?吸わない連中からしたら害でしかない煙まき散らしてしかも臭い!めっちゃ臭い!奈良の大仏さんが屁こいたより臭い!そんな迷惑考えないで毎日毎日僕らは灰皿の上で焼かれてヤニなっちゃうのか?あ!?極めつけがポイ捨てばかりしやがって!地球をなんだと思ってんだよ!俺が地球の代弁してやる。地球の真ん中のマグマでタバコの火点けたろか?その後マグマでポイ捨ての数だけ抱きしめてやろうかってな!」 「なんだとこの野郎。好き勝手言いやがって。どっからでも掛かって行くぜ!!」  掛かってくる前にまた見たこともないがフェンシングのようにして特殊武器を相手の喉元に突き刺していた。あと一人。 「俺はタバコは吸ってないんだよ。いつもガムなんだよ」  最後の若造はそう言いながらガムを地面に捨てた。 「ガムもだーーー!!」  往年のミスターの豪快な空振りを思わせるフルスイングで最後の若造もその場にへたり込んだ。  最初に倒れた若造から“W”が出てきて我に返った俺は、窓越しから見ていた曜子に頭の上に両手で大きくマルを作ってサインをした。  五人全員分が出てきた“W”は全てバスケットボール程の大きさで透明人間がドリブルをしているかのようにピョンピョンとその場で跳ね続けていた。  余談だが、人は頭上で大きく両手でマルのサインを出すとき足はガリ股で開いてしまうのだろうか。もしかするとその姿が本来の完成形なのだろうか。  頬杖を付いて一部始終を見ていた曜子は呆れたような、だけど楽しめた、そんな感じの微笑で小さくオッケーのサインをくれた。     
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