第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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 ―17― ドリンクバー 「おかえり。結構苦労する勇者なのね」  曜子の待つ席に戻り温かいコーヒーを飲みながらやっとパンケーキにあり付けた。  今度のパンケーキはそのまま置いてくれていたのが有り難く、コーヒーも戻ってくる時に淹れなおしてくれていた。 「コーヒーありがとう。」 「ついでよ。それよりこれ見てよ」  取り出したスマホで動画を再生する。雄叫びをあげながら棒を振り回している危ない奴が画面に映っている。俺だ。衝動的に若造共を退治、正確には若造共の中に潜む“W”を退治しているのだが状況知らない人が見たら暴れている危ない奴に見られるな。  ここに戻って来た時に、クスクスという笑い声とよくやったなという目線を感じたのはこのせいだったと気づいた。 「眼鏡外して見てみてよ」  言われるがままに眼鏡を外して先程の動画を見ると、“W”は映っていなく空を切りながら暴れまわる俺の姿は更に危ない奴のレベルを上げているようだ。 「完全に変質者ね。発狂したニートの末路かしら?」 「完全に人生諦めて責任を社会のせいにしているニートとそうでないニートを一緒にしないように」 「そうなの?」     
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