第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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 そうなのか?なにも考えず普通に聞いただけだがこれが手口の一つが本当かどうかはわからないが、そうだと言われたら素直にそうだと思ってしまうのは曜子が言い切るからなのかな。女子高生にはそんな勢いで話に信憑性を持たせるパワーがあると思うのは俺くらいなのかな? 「夢というか色んな話して曜子のこともっと知りたいんだ」 「変態オヤジ、ウケるわ」  ケラケラと指さして笑う。いや笑い過ぎだろ。ストローを吸ってジュースを飲んで落ち着いたかと思ったら再び笑い出す。止めてくれ、ただでさえ周りの目線が気になっているのに余計目立って恥ずかしい。  ストローでグラスの中の氷をゆっくり回しながら 「・・・夢か・・・」  呟く様に言って曜子は窓の方に目線をやり、頬杖をついて黙り込んでしまった。  曜子の横顔を見ながら当然目は合うはずないのに俺は恥ずかしさを覚えパンケーキに助けを求めるように目線を移して頬張った。コーヒーを飲みながら目線を上げると同時に曜子の耳に掛けた横髪がするりと落ちた。  何を見るでもなく遠くをみる曜子の瞳はどこかもの悲しさを表しているようだった。窓の外には先程の若造五人組が土下座している。とてもシュールな絵だ。 「私のことを知りたいのはあの所長さんにそう言われたからでしょ?素直に言いなさいよ」     
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