第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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 確かにそうなのだ。所長に言われて眼鏡無しで“W”が見える曜子と仲良くなれとは言われたけど、言われなかったらそのままハイ、サヨナラって別れていたのだろうか。偶然会うことはあるかもしれないが連絡先も知らなかったら今後二度と会わないかもしれない。  曜子に“W”が見えたとしても直接的に被害が無ければスルーしてもよかったことかもしれない。ホントによかったのかな?自問自答してしまう。  人の人生とは選択の繰り返しなのだ。その後の人生が大きく変化のある選択もあれば影響のない選択もある。  物理的に選択した方のせいで被害が出れば選択ミスだったとわかるが、結果的にそのミスから生まれた選択で良くなる場合も多々ある。受験戦争で志望校に入れなかったとしても結果的に進学した学校で生涯の友人や恩師に出会えるかもしれないし、志望校に不合格だった事実を受け入れる心が強くなり更に勉強の仕方を改善してより良い進学や就職にありつけるかもしれない。目先の結果で見るか常に未来を見据えるかで選択によって生まれた結果の良いか悪いかが分かれるのだろう。ことわざであったなこういうの。たしか・・・ 「ちょっと聞いてるの?ひょっとして私のこと想像してまたイヤラシイ妄想してたんでしょ?変態ウタル丸!」 「俺は漁船か?」 「そのパンケーキ美味しいでしょ?」  にっこりしながらパンケーキの同意を求める瞳に人を漁船呼ばわりした悪気は一切感じられなかった。 「私、〇〇学園の三年生なの」     
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