第一章 夢から覚めたら

8/46

56人が本棚に入れています
本棚に追加
/217ページ
 新人を教育するのも、新人の失敗を補うのも、上司から助けるのも全て先輩の仕事だろうに。  それを電車でガミガミ言ってる時点でお前は職務放棄したようなものだ。つまり後輩の事を怒れる立場じゃないってことだ。自分の仕事を全うにしてからにしろってんだ。  こんな先輩がいる会社に入ったら、運が悪いも群を抜いている抜きすぎているようなもんだ。  有望な新人社員たちも心が折れて歪んでしまうだろう。つまり会社に不利益をもたらしているのは間違いなくこの先輩社員だろうに。  俺が上司なら即刻無能さを見抜いてクビにするところだが、俺はまだ実力の半分の力もだしていない状態、つまり面接に向かっている状況なので、お前をクビにする立場は他の無能な誰かが居座っているということだ。  今の会社にクビの皮が一枚繋がっているのは、本気を出してない俺のおかげだということに感謝して、とにかく新人を叱るのは今すぐ止めるんだな。  後輩が入ってこなければ、いつまでたっても己が下っ端だということだ。つまり新人後輩はこれからの宝の人材だと言いうことを忘れるな。    さて、気を取り直して、俺は昨日貰った求人募集のチラシを取り出し、昨日の事をまるで昨日の事のように思い出すことにした。
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

56人が本棚に入れています
本棚に追加