第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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 ―20― 電車  結構空きがある電車に乗った俺たちはどこに座ろうか車内を見廻していたのだが、俺は近くの空いてる席に適当に座った。曜子よりも早く座りたかっただけの理由は曜子より年寄りで腰が痛かったわけではない。恋人でもなければ友達とも少し違う。流れで家庭教師と教え子の関係にはなるのだが電車のような長椅子に座る場合の二人の距離感にもの凄く気を使ってしまうのは女性慣れしてない青年男子なら当たり前のことだと俺は信じている。先に座ってしまえば、他の席に座ろうが真横に座ろうがそれは相手に委ねられるからだ。年下の女子高生に座る距離を委ねる行為が情けないとしてもだ、隣に座ってあっち行ってよと言われても落ち込むし、離れて座ってなんでそんなに離れて私のこと避けてるのとか言われても面倒だからだ。まぁこんな事を考えているのがバレる方が一番面倒なのだが、ともかく先に座ることに成功したので良しとしよう。  そんな愚かだが本人は真剣に考えた座る距離の問題も何もなかったようにカバン一個分のスペースを空けた横に曜子は座った。     
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