第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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「今日はプールだったから疲れたの。髪はボサボサになるし良い事ないのよねぇ。おまけに忘れ物までしちゃってさ。多分プールの更衣室にポーチを忘れてるんだと思うんだ。うちの学園の水泳部下手に強豪校だから温水プールまで設備しちゃってるから水泳の授業が多いのよねぇ。ちなみにプールは室内だから女子高生の水着姿見れると思ったら大間違いだからね」 「思ってないよ」 「ホントかしら?ウタルはホントに変態だから油断できないわ」  俺が変態なのかどうかは知らないが俺より俺が変態なのを知ってるのが凄いわ。 「けど、さっきは何故“W”が見えなかったのかしら?」 「それなんだけどさ、そもそも肉眼で見える方がおかしいんだから、見えないのが当たり前なんだし一時何かの間違いで見えてただけかもしれないし普通に戻っただけかもしれないよ?見えなくて困ることもないんだし」 「・・・あるもん」  丁度踏み切りを通ったところだったので俺は曜子の言葉どころか喋ったことさえにも気づかなかった。 「まぁ困るとしたら俺が“W”を成敗してる時にただ棒持って暴れてる人に見えるってことだけだな。ハハ」 「・・・バカ」  このバカというセリフが俺のどれについて言った言葉なのかは知る由もなかった。  到着駅を降りて学園まで程よく歩き俺は正門の前で待っていた。  忘れ物のポーチは無事に見つけることができた様子で、とても嬉しそうだ。  帰りの電車を待っている駅で曜子のクラスメートに会った。同級生と話す曜子は女子高生そのままだった。 「祥子と藤井って付き合ってたの?」 「そんなんじゃないよぉ」     
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