第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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「当たり前でしょ?女子高生の噂って怖いんだよー。曜子の彼氏、こないだ駅で棒振り回してたわ。私も見た!ヤバイよねぇって噂なったら私学校行けないよ」 「確かに。現実そうだし、説明しても理解してもらえる自信がないな」 「でしょ?それよりポーチがあって良かったわぁ」 「そんなに大事なのかそれ?」 「中身がね。ペンダント入れてたの。これして水泳の授業受けるわけいかないでしょ?」 「ってことは今お前のバッグの中には脱ぎたての女子高生水着が入ってるわけだな?」 「バッカじゃないの!ホンっとにあんたは変態よね!変態ウタル丸」 「お前が勝手に言いそうだから今回は先に行ってやったんだ。本心じゃねーぞ」 「どーだか・・・」  少し静かだなと思ったら曜子は寝てしまったみたいだ。(まぶた)を閉じて少しだけ開いた唇。斜め上から見るからだろうか睫毛(まつげ)がやたらと色気を増して見せる。  電車の揺れ方は疲れた時には心地よい子守歌になる。一人でも寝てしまった程水泳の授業に疲れたのか。到着したら起こしてくれる誰かがいるから安心して寝てしまったのか。それは誰であっても寝てしまったのだろうか。疲れても寝るほど心を許していなかったら意地でも起きていたのだろうか?答えのない答えを探しながら俺はそっと(まぶた)を閉じた。     
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