第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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―21― 曜子の部屋  再び“W”が見えることにえらくご機嫌になった曜子。 「そんなに嬉しいことかね?」 「ウタルにはわからないんだよ。元々あるものが失われるのが嫌なだけよ」  曜子の家に着いてリビングで紅茶を一杯飲みながらもテンションが高い。余程嬉しかったのか?このテンションで勉強にも励んでくれると良いのだが。 「やっぱりいつも持ってないと不安になるね。特に要はないけど無いと不安になる現象をなんていうか知ってる?」 「知らないぞ」 「私も知らない」  なんだそれ。 「ねぇ、今思ったんだけどもしかしたらこのペンダントが原因なんじゃないのかな?」 「ペンダントが?まさか」 「けど、“W”が見えた時と見えない時の違いの一つではあるよ」  確かに。けどペンダントにそんな機能が備わっているとは思えないけど。眼鏡のレンズ部分と同じ素材で出来ているのか?だとしたら、からし屋マタジの本部が関係してるはずだから所長が知ってるはずだな。明日所長に聞いてみるか。 「ちなみにそのペンダント、どこで買ったんだ?」 「買ったんじゃないわよ。死んだおばあちゃんがくれたの」 「おばあちゃん?」     
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