第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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 実際の結果と旅行の件は置いとくとしても、曜子の勉強に対してのやる気スイッチが入るのは良いことだ。 「直島行ったら一緒に写真撮ってあげるね」 「どーして上から目線かなぁ?」 「直島のかぼちゃを誰にも見られずに一緒に写真撮ったら願いが叶うって言い伝えがあるのよ」 「お互いが写真撮り合ってたら誰にも見られないって条件クリア出来てないんじゃないの?」 「いーのよそんなのは言葉遊びみたいなもんよ。そんな細かい所をつくからモテないのよ」  的確な指摘をグサリと言う。モテたい、一人でいいからモテたい。 「でね、二人の願いが叶うまでお互い言わないんだって。叶った時に相手に言うのだけどもしその願いがお互い同じだったらとても素敵でしょ?夢があるわぁ」 「お前はなんて願いするんだ?」 「アンタ人の話聞いてる?ウタルに連れてってもらうんだからウタルに言ったらお願い事叶わなくなっちゃうじゃん」  どうやら旅行保証人は確定している様子で話を進めているようだ。来年、無事に大学合格すれば友達や彼氏とゆっくり旅行でもできるだろうに。今行きたいなんてせっかちというか駄々こねる子供のようだな。 「まぁ旅行よりまず勉強だな。けどかぼちゃって店で買うのか?」     
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