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立て続けに起こる破裂音が校舎屋上から響いていると気付いた瞬間、俺は激しく後悔した。あの時何か手を打っていれば、この勝負は始まりすらしなかったというのに。
放課後間もなく、手洗いへと急いでいると、曲がり角でバッタリ奴に出くわした。
鼻歌でも口ずさむ勢いで跳ねるように歩いていた奴の肩には、雑誌の付録であろうベージュのトートバッグが掛けられていた。
やたらとトートバッグが膨れていることに違和感を覚えながらも、膀胱の許容量とトートバッグの中身が使用済みの体操服であった場合を鑑みて、「中を見せろ」と告げることを躊躇った俺を誰が責められようか。女子の使用済み体操服が入ったバッグの中を見ようとする男なんて変態でしかないのだから。
しかし、今となってはあの中身が衣類でないことは明らかだ。
嗚呼、忌々しい。部活に所属していないはずのあいつが放課後パンパンに膨らんだトートバッグのみを持って廊下をスキップがちに歩いているなんて、良からぬことを企んでいるに決まっているというのに、何故そこまで考えが及ばなかったんだあの時の俺よ。
だがしかし、まだ俺の負けではない。
「そこまでだ!」
制止の声と共に屋上のドアを開け放つと、空を見上げる奴の後ろ姿が視界に入り、俺は勝ちを確信した。
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