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屋上に点在するように設置された、市販の円筒型打ち上げ花火。良く見るとそれらはそれぞれデザインが異なっているものの、全てに50連発と書かれていた。その数は6、7、8…
「はっはー!打ち上げ花火500連発!昼間とはいえ爽快だったねっ!」
あ、10本なのね。数える手間を省いてくれてどうもありがとう。
「おい夏目。お前は今、自分が何をしているか解っているのか」
問いかけると、うなじの辺りで束ねられた黒髪が跳ねるように揺れ、彼女はその整った顔面を最高の笑みで飾り付け、自慢気に見せつけてくれた。
夏目涼。それが、俺の好敵手の名だ。
「もちろん、解っているとも生徒会長さん。私は今、屋上に立って花火を見ている。それだけだよ。何か問題でも?」
「そうだな、問題は大きく分けて二つある」
一度ピースサインを突き出し、すぐに中指を折り畳んで人差し指のみを立てる。
「一つ、屋上は立ち入り禁止だ。ここに立っている時点でお前は指導の対象となる」
続いて中指も立て再びピースサイン。
「二つ、授業以外での火薬の使用は原則禁止と校則にも記されている。以上の二点から!生徒指導教諭直々に指導代行権を与えられているこの俺が!下す罰則を!受ける義務が!お前にはある!」
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