序章 500連発

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 落ち着け、冷静になれ、考えろ。ここまで走って来て息が乱れているせいで思考が纏まらないだけだ。息を大きく吸って酸素を脳へ回せ。  必ず勝機はあるはずだ。だってどう考えても犯人こいつだろ。さっき見たトートバッグは空の状態で夏目の足元に落ちているし間違いない。  だがそれは証拠にはならない。さっきはペットボトルか何かを入れていて、ここに来る途中のゴミ箱に捨ててきた等と言い逃れられるのがオチだ。  何か確固たる証拠があるはずだ。できれば物的証拠が望ましい。 「ふふふ、どうやら今回も私の勝ちのようだね」  勝ちを確信した夏目は、胸を張って両手を腰に当てた。  敢えて大きいと言える程ではないが、その存在感は男子たる者無視できるものではなく、寧ろこれくらいが万人に下品さを感じさせず且つ夏目のフレッシュなルックスを引き立てるのにベストであると思われる。  いや、別にやましい気持ちで夏目のベストなバストを見ているわけではない。俺が注目したのは、その程良く隆起した胸部によって圧迫された胸ポケットの中身である。 「違うぞ夏目。やはり俺の勝ちは揺るがない。何故ならお前はずっと持っているからさ。ここの鍵をお前が開けたという証拠をな」  
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