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その先には何か黒い…箱のようなものがある。
「行ってみよう。」
達也が言う。無言で頷き足早に向かう。
その黒い箱は、思ったよりも遠い場所にあったらしく予想よりも小さかった。ちょうど俺の手にすっぽりと収まるサイズ。
「なに…これ?」
瑞香が怪訝そうな声を出す。俺も同じだ。そんな俺たちを見て、達也がひょいっとその黒い箱を取り上げた。
「「あっ!」」
瑞香と同時に声がでる。御構い無しにくるくると黒い箱を回す達也。見ているこっちは少しハラハラする…。
カチッ
「あ。」
黒い箱から謎の音がする。それと同時に達也の声。
「え、ちょっ、達也…?」
俺の焦る声。それに対し達也は、
「ごめん。なんか押しちゃったみたい。…てへ。」
じゃねーよ!!
達也の手の中の箱はなぜか白く点滅している。一体なんの前触れなのか。もしかして爆発…とか。3人がそれぞれ悪い想像をしている中、箱が急に放射状に開いた。
「うわぁ!」
達也が思わずそれを離す。元黒い箱は未だにかしゃかしゃと言う音をたてながら、形を変えていく。俺たちはまた手を繋ぎ直しその様子を見守る。
かしゃかしゃ、かしゃかしゃかしゃかしゃかしゃ…
最終的に出来上がったのは、黒い球体だった。
5秒、10秒、15秒、経つが変化は起こらない。
もう一度達也が恐る恐る手を伸ばす。
がしゃん!!
もう一度大きな音。達也は勢いよく手を引っ込め、俺たちは思わず達也の服をきつく握り目を瞑る。
そっと目を開けると、先ほどの丸い球体に4本の足のようなものが生え、ちょうど俺の頭と同じぐらいの高さにあった。そしてなぜか 青く光っている。
「なんなんだこれ…。」
達也が言う。達也はもちろん俺や瑞香も首を振る。今度は全員で、ゆっくりと手を触れずにそれを観察する。ただの黒い球…と脚的なもの…。
バチッ!
またしても謎の音。一瞬身構えるが特に形に変化はない。そう思ったのも束の間、球の青い光が強くなり…
「見つけた。」
と鈴の音のような声が聞こえた。しかも球の中からだ。俺たちはまた一箇所に身を固める。そうしている間にもその球はキンッキンッと甲高い音を鳴らしながらますます青く光り、辺りを照らす。その眩しさに思わず目を瞑る。
「なんだ、これ…!」
達也が叫び、その光から俺たちを庇うように立つ。
その瞬間、球は一層鋭く発光し俺たちを覆う。しかし光は一瞬で収まりまたしてもあの声。
「見つけた…。」
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