願い

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例えそれにたかだか人間一人が加わった程度でな。どーせ元々元に戻すつもりなんかねーんだろ?お前たち神は人が苦しむ様が好きなんだからよ。」 達也が輪花の神をグイッと握り目を合わせる。 「だが俺じゃそうはいかねぇぞ。さあとっととやれよ。俺の力は強いからな?呑まれないように気をつけろ?」 達也はそういうと輪花の頭から手を離した。輪花はよろよろとふらつきながら地面に手をつけ、何かぶつぶつと言っている。 「水香とやら、」 達也が、ヒトノカミが呼ぶ。 「人を大切に思ってくれてありがとな。お前がいなきゃみーんな死んでた。」 そう言ってにこりと笑う。 「礼と言っちゃなんだが、ほれ。」 そう言って何かを水香に向けて投げる。 「それは人玉だ。飲めば人間になれる。代わりに神としてのお前は死ぬがな。どうするかわお前次第だ!」 水香はそれをぎゅっと握りしめ涙を流している。達也がくるっと俺の方を向く。 「蓮。騙して悪かったな。あ、でも妹も弟もいるし、一応人の世では高校生でバスケ部だ。お前と手を握った時お前ってああ人柄がわかったよ。いいやつなんだなって。頑張れよ。いつかお前を助けてくれる奴が現れる!」 達也がにかっと笑う。その笑顔にすら安心を覚えてしまう。たった数時間なのにこんなにも離れがたくなるなんて…。なんでかわからないけど、まだ話をしたい。行かないでほしい。俺が何かを言おうと口を開いた時、ヒトノカミと輪花が光り出した。 「ま、まって!」 俺が叫ぶ。しかしヒトノカミはひらひらと手を振り その口が、"また会いに行く"と告げる。 「まだ伝えたいこと…!言えてないことが…!」 キンッ金属同士を叩いたような音が響き二人は消えていった。 その瞬間溶けた世界は元に戻り、いつもと変わらない日常が戻った。
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