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澤田くんは、お菓子作りが上手い男子だ。
お母さんの影響らしいのだけど、ホットケーキやプリンミクスだけでは物足りなくなった小学生の澤田少年は自力で色々と挑戦するようになった。
そして、ほわほわとメルヘンチックな先生が学年主任だった小六の二月。
少女漫画みたいにチョコケーキを作る調理実習が企画された。
授業だから男女共同で作るのだけど、これならお菓子禁止の学校でもバレンタインとして堂々と渡せると盛り上がるのは時期的にしょうがなかった。
ところが、気合いを入れていた女の子の班に限って膨らまなかったらしくて、授業中にも関わらず半泣きになっていたらしい。
それを見るに見かねた澤田くんが、ちゃちゃっと可愛くデコって誤魔化してあげたのだとか。
後に、その子は告白を成功させ、影の功労者である澤田くんの知名度は女子の中で一気に上がった。
それは、当時、他のクラスだった悠真の耳に入るくらいの勢いだった。
翌年、中学に上がっても覚えていた女子によりチョコ菓子の依頼が舞い込み、以降、高校に入っても尚、職人澤田くんの需要は衰える気配がない。
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